白いやさしさの   

懐かしい光景というものがある

どこか遠い記憶のなかから

光がさしてくるかのような

ほんのりと明るんでいて

暖かみと優しさが宿っている

そんな絵にであう

幸せというものがあり

絵の中にすーっと入り込んで

自分も一緒に歌っていたり

手をつないで輪になって

踊っていたりしているような

遠い記憶がまぶたのなかに

夕焼けのほんのりした残り灯の

ようによみがえってくる

たくさんの手から手へ

言葉から言葉へ

瞳から瞳へとつむぎ合わされて

まぶしい時間と淡雪のような

ふんわりとした白い断片が

ふりつもってゆき、そこに

無数のかけがえの無い

命の優しさが呼びかけてくる

心から心へと何十年、何百年と

続いてゆく暖かい流れのような

波動がゆったり伝わってくる

ゆうなぎの海の水面がねむりに

つくまえにそっとまぶたを閉じる

ようなそんな時間が流れていつか

星のまたたきが明日の希望の

灯りになってふりそそいできます

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動物をみていると、馬も牛も

みんな優しい目している

ああ、幸せなんだなと思えたりする

なにももっていないんだけど

ただ歩くための手足、食べるための口

それ以外のなにも持っていないけど、

すべてがあって、なにもかもあって、

すばらしい1日があって

静かな1日があって

時は時々立ち止まってくれたり

しているようで、進むのを忘れて

しまっていたりしていて

なにももたない彼らの時間を

ゆったりと、穏やかに

動かしてくれていたりします。

我が家の猫に

そろそろおやすみなさいだよって

言うと、猫のみみがぴくぴくと

かすかに動く、寝ているようだ

けれどもちゃんと

起きている所もあって、

半分ずつ寝ているのかもしれません

一日は24時間、でも彼らはどうも

48時間ぐらい時間があるんだなあと

思えてきます。

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夏の朝のひぐらし

かなかなと泣いて

哀,哀、と哭いて

いるように聞こえます。

外は雨,土砂降りの雨でした、

そんな、中、かなかなと

哀、哀、と哭いていました、

なぜ、なにか哀しいのと

聞いてみたくなるような

ひたむきな,なき方です。

ずぶぬれでしょうね、

さむくないでしょうか

この雨が行けば夏だから

あのからっとした暑い夏だから

夏が早く来るように、

ないているんですからと言って

いるようでそんなに

悲しまないでくださいねと

いっているようで

雨も嫌いではないのですって













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