辻まこと

山が好きでよく1人旅をした人は
また絵も描いていた。

春の新緑の頃や秋のこがね色の
頃も旅をしていた

時折小さな山小屋で
仲間とパーティもした
酒をのんで興がのってくると
自らギターをつま弾き歌も歌った
もうプロの歌手のようだったね

秋の林の音楽会は最高だった
仲間がそれぞれ楽器を持ち寄って
気楽にはじめるのさ、楽譜なんてものは
ないけど、みんなの息はぴったりだったな

柔らかな秋の日差しが林に
差し込んでくるとあたり一面に
黄金色になった、そんなときは
もうたまらなくて、踊り出したい
くらいだったよ、

山の上でテントをはってね
あたりを見ていると右の方に
夕日が沈んでゆくのがみえるのさ

しばらくするとオレンジ色とコバルト
色が混じってきてだんだんと藍色が
深くなってゆくと星が瞬き出すのさ

それは美しいものでね、もう隙間の
無いくらいに星がちりばめられている
んだね、それをみてるとね
地球は幸せな星だなと
おもうのさ、それはあんなに沢山の
仲間の星達に囲まれているからさ
彼らがいつも優しく照らしてくれて
いたんだとね

山と都会とどちらが好きかと
時折聞かれるけど、いつもこう答える
事にしているんだ、
山にいるときは都会に恋をしているだ
反対に都会に居るときは山がとっても
恋しいとおもうものなのだよ。

だからいつもどこか遠くにあこがれて
いるのかもしれないな、ここから
また、旅にでる、そして着いたところ
からまた旅が始まるのさ

地球一周徒歩の旅なんていうのも
一度はやってみたいもんだけどね

山の上で飲むコーヒーの味をしって
いるかい、谷川でくんだ水をコッヘルに
いれてラジウスにのせてね
そこにコーヒーをいれてしまうのさ
程良い頃に漉して飲む、これがまた
格別なんだ、山の静寂もこの味に
一役かっているんだろうね。

辻まこと 画家、エッセイスト
絵本作家、登山家?山や・・・







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