星の船 アーカイブ−1
曼珠沙華幻想
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呼んでいたのですね 
そちらに行けばいいのですか
でも、いま少し時間をくださいませんか
まだ道が分かりませんゆえ

そちらでは雪は降りましたか
雪が降ればすこし明るくなって道が
見えるかもしれません 
雪が無くても
白の曼珠沙華が道案内をしてくれると・・・
赤が燃えていますね 
L5空間
L5と呼ばれる空間はどこでも空に通じている不思議な場所だ

自分の立っている所にはただ大きな壁と空がある

そんな幻想的な所がどこかにあるような気がしている

壁を登りその先にある空に向ってゆく 

そこがL5空間だ

じりつく
じりつく 世界のありようにほんの少しだけじりじりする

自分の置かれている場所がなんだか居心地がわるいそれもあってじりつく、こんな感覚がすこし変だということもある

ようはやはり世界が自分の知らない所でじりじりと荒れていっていることがどこか遠くのほうから聞こえてくる

目の前に浮いているような意味不明なじりじりとする物体のせいだということだけはわかる

             マトリックス
仮想現実空間 マトリックス
今住んでいるこの世界のすぐそばで
なにか分からないものが培養され栽培されて
いつの間にか見ている目の前の世界と
入れ替わっている、なにもかも当たり前の
日常のはずなのにそれが全く異次元にすり替わる

映画の世界では旧式な黒電話が鳴ります
さしずめ今では聞いた事のない
携帯の着信音が自分の携帯から聞こえてくる

そんな妄想にはマトリックス空間がうってつけなんだ

                ランプ
秋の夜長、ランプの下で読書をしていた時代は
物の輪郭もすべてが朧に見えていた

すこし疲れた目を休めてふと背後をみると
ぼんやりとした気配がランプの灯りに揺れていて
それが人なのか物の怪なのかしばし判別がつかない中で
ふっと首筋に生暖かい風が触れてくる・・・

今まで普通に灯っていた明かりが突然かき乱したように揺れて
すーっと消えたと思ったら手の上に人肌ではない氷のように
冷たくぬめったものが這ってきて・・・

秋の夜長のプチ怪談でした(笑)
そんな気配を感じさせてくれるのも蛍光灯では
ないランプの灯りなのかもしれません

三峰
霧の中を歩むとき
日常の喧噪は遠のき
次第に静寂な世界が広がってゆく

柔らかな白のベールに包まれて
心が休まるような安堵感と同時に
地の底に引きずり込まれてゆく
ような孤独が身の周りに満ちてくる

霧の中を歩くのは不思議な
世界の扉をそーっと開けること
なのかもしれない
                人形
どこかさみしそうな雰囲気が漂う人形達
聖少女のようなたたずまいが見せる
そのまなざしは閉じられているようにも見える
あるいは涙をこらえているのかもしれない

優しげな姿のその肩は一様に力なく
じっと耐え、哀しみがその周りを取り囲んでいる
いつの日かその愁に満ちた衣を脱ぎ捨てて
五月の新緑の中に出て行く事はあるのだろうか
冬の光
青く澄んだ空から冬の光が差してくる
暖かさと優しさを運んで来てくれる
外を歩いているとそのふわりとした
柔らかな手がそっとほほを包んでくれているのがわかる
十分に暖まってね そう言っているような気がする

透明な冬の光が青空をガラスの温室に変えているようだ
すこし心の羽根も軽くなって
あの青く澄んだ空に向かって飛び立てる
思い切り大地を蹴って・・・
たまご
何かが生まれてくる不思議さを持っているこの形
すぐそばにあって見慣れていてどこにあっても
あまり感動もなく、そうね卵だねと・・・

そんな卵をすこし場所を変えて
シュールに見えるようにしてみました

普段の卵とはちょっと
違ったものが見えてきます


いろいろやってみましたがやはり
一番美しいのは上にあるただ卵を撮ったものでは
ないかと思います この形は一切の無駄がなく
究極的に完成された形だからだと思います

影を生ける
生け花というものが花の命を絶って
花を活かす、そういうものであるならば
花が光を纏って現れてくる影もまた
活けられた花の分身のように思える

影の無い花は美しく見えていたとしても
大地から切り離された時から
眠りについているのかもしれない

影が揺らぐ、
そこに花の微かな残り香にも似た
命の残光があるのだ
懐かしさと優しさと
小川のほとりには花々が
ひっそりと咲いています
さらさらという微かな音を立てて
小さな川が花の命を育み懐かしい光景を見せて
今日も静かに息づいています

コンクリートが次第に増えてゆく
現代ではありますが
こうした優しさにあふれた小川が
いつまでも残っていて欲しいと思いますね
故郷
いつの頃からか故郷と呼べるものを求めて
さまよい歩いていた
きれいな川があり近くに山があり
風、水、光、全てが透明に澄みきった所
そんな光景の場所に憧れていた

でも、ただそこに自分がいる、それだけでは
故郷にならないという事に気がついた
いつもやってくる巡り合わせ、やがてそこから去ってゆく

この世界に故郷と呼べる所は何処にもなく
さすらいそのものが故郷を夢みるための
道程なのだと・・・
文字を撃つ
タイプライターでは文字を打つという感じでしょうけども
キーボードはたたくになりますね 
そして今では触るというなんともふわっとした
手触りになりました それとともに文章も
がつんとした骨のある文章に出あう事も少なくなりました
 
ヘミングウェイがアフリカのサバンナで
猛獣狩りをしながら小説を書いていた時は
タイプライターで文字を撃つという
気迫のこもった感じだったかもしれませんね
ライフルの照準を合わせるように
言葉に狙いをこめて・・・撃つ
本を読まない人
近頃本を読まなくなった、大して理由はないが
ただ活字を読んでいると眠くなるという事があり
集中力が続かない

写真が好きになってきていて映像を見る事が
生活の多くの部分を占めているからだ
TVの外国の旅行記などには結構はまっている

美術史の本を読むよりBS放送でやっている美の浪漫紀行などの
美術館の展示絵画などを詳細に映し解説しているほうが
楽しいということもある 
そんなこともあり読書から遠ざかって久しい
枯山水
枯山水の庭は敷かれてある白砂を海に置かれている石を
島に見立てて作られていると言います 光をあびて輝く白砂は
目に痛いくらいにまぶしく人の心を安らかにするような感じではありません


以前に行った京都の龍安寺石庭は枯山水で有名ですが方丈に座って
庭をみていると自分がその庭に置かれている石のような気分になってきます

そして一歩下がってみるとその庭に置かれている石と見ている人の背中が一つになり
石が無数に点在しているかのようにも見え、庭に次元を超えた広がりがみえます 

もともと禅の修行の為に作られたとされる庭ですのでやはり深淵な
意味があるのではないかと思いますが癒しとは正反対の精神を
律して行く苛烈な庭ではないかという気がしました
柔らかな
真夏の夜の夢ではなくて夏の日の幻想です
ブルーのトタンに小さな花が良い感じだなと思って
写真を撮っているとどこからともなくそーっと忍び寄ってきて
未確認物体のにょろが大きな顔をしていつの間にか目の前にいます

空をみていると青空が一変して黒雲がでてきて
やがて見た事も無いような形の雲に変わっていきます
怪しげな未確認物体はどこにもで居るんですね 
桜花夢幻
春の夜の夢につられて踏入りし桜の園はただ夢幻
綾なす花の香に迷い今宵さすらう花の下

まだ冷たき風がほほを射す
はらりと一ひら散りかかる、かそけき重さ
手に受けてそっと見つめる桜花

今宵一夜の逢瀬ならこのまま樹下に伏してゆく
寝なましものも、よかれとの風のそよぎに乗ってくる
桜花のため息かと思う この身で受けて預け行く
桜月夜の契りなれ 明日の行く末ただ夢幻
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