相原求一郎
相原求一郎は川越の市立美術館で
展覧会が行われているとき
見に行きました。

蔵づくりの町並みやレトロな喫茶店、ギャラリーなど古き良きものを沢山残して居る川越は何度訪れてもそのたびに新鮮な感動を与えてくれます。

そんな川越の町並みを抜けてしばらく行くと川越市立美術館があります。蔵づくりの面影をのこしている建物はいつも静かで落ち着いて絵みることができます。

        

冬の北海道の風景に
魅せられた
画家の息吹が100号の
キャンバスに
白、グレーと沈み込むような色彩で
描かれていました。

鉛色の空、凍てつく
北の大地を描き続けた
画家の深いまなざしを
感じることができます。

なぜ絵を描くのかという
問いかけを常に自分に
科していた
画家がたどり着いたのが
北の風景だったのです。

抽象から具象へと変化して
行く中で見つめた北海道の原野は
ある時は初冬のまだ紅葉の名残が
湿原を彩っているころ、
またある時は
激しい海鳴りのする北の海に
対峙した画家はそこでかって命を
宿していただろう流木を
見つめていました。

このような絵を見ると
暗く暗鬱な空と海にどのような思いを
抱いていたのだろうかとその
心境に思いが沈んでゆきます。

またじっと絵を見つめていると
その風景がどこか暖かみに
満ちていることにも
気付かされます。

それはこの風景を愛した画家が
それを自分の魂のふるさとのように
思って描いていたのではないかと
思われるのです。
雪と氷の北の大地が、いつかまた
新しい生命を宿すことを予感させて
くれるような色調なのです。

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